映画現場100ぺん

映画館で観た映画について語ります

『オオカミ少女と黒王子』-ド直球ドS王子ジャンルもの。二階堂ふみがポチと呼ばれる日が来た!

はい本日は『オオカミ少女と黒王子』です。『別冊マーガレット』の同名人気漫画を廣木隆一監督が実写化します。

 

高校に入学したばかりの篠原エリカ(二階堂ふみ)は話しかけてくれたクラスメイトに話を合わせるために、彼氏との少し過激な恋愛話を語るが、エリカは恋愛をしたことがなかった。「エリカレって本当にいるの?」と友人が怪しく思い始めたころ、偶然、街でみかけたイケメンを盗撮して自分の彼氏として写真を見せることでその場をしのぐ。しかし、その彼は同じ学校に通う他のクラスのアイドル、佐田恭也(山埼賢人)だった。事情を説明して彼氏のフリをしてもらうことになるが、「じゃあ三回回ってお手してワンだな」と命令してくる。恭也は優しげな見た目とは正反対のドS男子だった。表面的に付き合っているように見えるが、二人きりになれば、犬とご主人様同様の上下関係のある厳しい現実。つらい使いっぱしりの生活の中で、背が高くてイケメン(鈴木伸之)の男の子が突然話しかけてくる「ついに本物の彼氏?!」と浮き立つエリカだが、このイケメンの思惑には裏があり….

 

 

ドS王子ジャンルのド直球作品

少女漫画の実写って、周期的に観たくなるのですが、今日はそんな日。この映画を見ながら、ある作品を思い出しました。そう!「黒崎君の言いなりになんてならない」です。さえない女の子がドSのイケメン君と優しいイケメン君の間で心を揺るがせるという、そういう恋愛ジャンルものですね。ドSの男が実はナイーブでいいやつというのがルールです。「黒崎君~」はSexy Zone中島健人君が少し目じりをぴくつかせながら、漫画さながらのドSぶりをいかんなく発揮する一方で、どうしようもならない時にピアノを弾くという繊細ぶりを見せていましたが、「オオカミ~」のほうは「みんな所詮、恋愛ごっこしているだけ。恋愛なんて食べ物についてくるおまけみたいなものだ」などと恋愛を冷ややかに見ているようなことを言いながら、実は両親が離婚して、家族のいないさみしさを抱えている憂いが見どころ。こういうギャップをちゃんと魅せてくれる(この漢字で合っているんです。)ところが少女漫画、実写化の良心です。

 

MがいるからSが輝く

その一方で、絶対的に主人公を肯定してくれる「優しい(ここ大事)」イケメンの存在も重要。「黒崎君~」の白王子こと千葉雄大君。「オオカミ~」だと吉沢亮君ですね。最悪、ドSに振られたとしても、まだ私にはこの安パイがある!という、恋愛の原動力を担うのが全肯定イケメンです。本来こういう男子こそ大切に扱われるべきですが、ドSジャンルでは、さわやかさや、優しさを存分に振りまいて、大切なところはドSのために暖めておく、哀しい役回りです。でもこの優しさを捨てるのがもったいなと思わせるような優しさがないといけません。傷ついたエリカに寄り添ってコロッケパンを一緒に食べてあげる日下部君の優しさがむしろ好きって女の子は多いはず!奥手のメガネ男子の吉沢亮君は今までの役柄とはかなり変わって、新鮮にうつります。

 

やっぱり二階堂ふみがすごかった

そしてなんといってもこの物語は「二階堂ふみ」ちゃんのために作られています。断言できます。とにかくふみちゃんがかわいい。本当にかわいい。作品全体を通して、オオカミ少女であるエリカの疾走、エリカの失望、エリカの子犬のようなうるうるの目、エリカの笑顔を余すことなく長回しでおさめています。特にドS王子の看病の後に、マンションを出て一人で鼻歌を歌いながら歩く長回しのシーンをみているだけで、セリフがなくても、恋をする女の子のウキウキ感があふれてきて、廣木監督の二階堂ふみ愛が伝わってきます。「地獄でなぜ悪い」のドSお嬢様を演じていた女の子の表情とは思えない純な表情、「二階堂ふみ恐ろしい子!」

 

余談ですが、ドS王子が「三回回ってお手~」のところで、エリカをポチと名付けますが、そういや「味園ユニバース」でふみちゃんは渋谷すばる君をボチオって名付けてましたよね。なんというポチ運の強い女優、二階堂ふみ!今後も期待しています。